太田記念美術館

東京・原宿にある浮世絵専門の私立美術館です。1980年開館。コレクションは約1万500…

太田記念美術館

東京・原宿にある浮世絵専門の私立美術館です。1980年開館。コレクションは約1万5000点。浮世絵の楽しさを皆さまにお届けします。表記がない画像は太田記念美術館の所蔵。公式サイトは http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

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歌川広重の「名所江戸百景」でお花見を楽しもう

桜が満開の季節です。浮世絵には桜を描いた作品がいくつもありますが、その制作数がもっとも多いのが、風景画の名手である歌川広重です。広重の最晩年の代表作「名所江戸百…

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江戸っ子たちのお花見に参加してみよう

桜が満開の季節。江戸時代の浮世絵には桜の名所が数多く描かれていますが、今回は、花見をしている様子を描いた浮世絵を集めてみました。江戸っ子たちと一緒にヴァーチャル…

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江戸時代の星空を眺めてみた

浮世絵に描かれた夜の風景。空を見てみると、月が輝いていることは多いのですが、星を見かけることはあまりありません。そんな中、あえていろいろな浮世絵師たちが描いた星…

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浮世絵に記された文字を解読してみた

浮世絵版画には、いろいろな文字が書き込まれています。たとえば、こちらの歌川国貞「二十四好今様美人 甘い物好」を見てみますと、画面のいたる所に文字が散らばっていま…

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北斎がお菓子の袋を作っていたという話

浮世絵師が絵を描くのは、版画や掛軸だけではありません。たとえば葛飾北斎であれば、祭屋台の天井に波の絵や、幟(のぼり)に鍾馗(しょうき)の絵、さらには、提灯に龍の…

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歌川広重の「名所江戸百景」でお花見を楽しもう

歌川広重の「名所江戸百景」でお花見を楽しもう

桜が満開の季節です。浮世絵には桜を描いた作品がいくつもありますが、その制作数がもっとも多いのが、風景画の名手である歌川広重です。広重の最晩年の代表作「名所江戸百景」にも、桜の花は数多く登場します。今回は広重の「名所江戸百景」の中から、特に桜が満開に咲いている様子を描いた名品4点をご紹介します。

①「千駄木団子坂花屋敷」

現在の東京都文京区千駄木にある団子坂。そのすぐそばに、植木屋の楠田宇平次が

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江戸っ子たちのお花見に参加してみよう

江戸っ子たちのお花見に参加してみよう

桜が満開の季節。江戸時代の浮世絵には桜の名所が数多く描かれていますが、今回は、花見をしている様子を描いた浮世絵を集めてみました。江戸っ子たちと一緒にヴァーチャルで花見を楽しんでみましょう。

まずは、葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景」の中から「東海道品川御殿山ノ不二」。

場所は現在のJR品川駅の南。御殿山という小高い丘となっており、たくさんの桜が植えられていました。埋立が進んだ現代とは異なり、目の

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江戸時代の星空を眺めてみた

江戸時代の星空を眺めてみた

浮世絵に描かれた夜の風景。空を見てみると、月が輝いていることは多いのですが、星を見かけることはあまりありません。そんな中、あえていろいろな浮世絵師たちが描いた星の浮世絵を探してみました。北斎、広重、国芳など、5点の星空をご紹介いたします。

①北尾政美(鍬形蕙斎)「浮絵東都中洲夕涼之景」 

場所は、隅田川の中洲。新大橋よりやや下流の位置です。この絵が描かれた天明年間(1781~89)頃には、埋め

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浮世絵に記された文字を解読してみた

浮世絵に記された文字を解読してみた

浮世絵版画には、いろいろな文字が書き込まれています。たとえば、こちらの歌川国貞「二十四好今様美人 甘い物好」を見てみますと、画面のいたる所に文字が散らばっています。

読める文字もある一方で、不思議な形をした謎の記号も。

実は、これらの文字、浮世絵が制作された背景を知るための重要な手がかりなのです。今回は、浮世絵に描かれた文字の秘密に迫ってみましょう。

①題名

右上にある赤い長方形は、作品の

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北斎がお菓子の袋を作っていたという話

北斎がお菓子の袋を作っていたという話

浮世絵師が絵を描くのは、版画や掛軸だけではありません。たとえば葛飾北斎であれば、祭屋台の天井に波の絵や、幟(のぼり)に鍾馗(しょうき)の絵、さらには、提灯に龍の絵も描いています。

その中でも特に珍しいのが、こちらの作品。「江戸八景 両国暮雪」とあるように、両国橋の雪景色を描いています。天保4年(1833)頃、北斎が「冨嶽三十六景」を発表していた、70代前半の作品と推測されています。

この絵だけ

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