太田記念美術館

東京・原宿にある浮世絵専門の私立美術館です。1980年開館。コレクションは約1万500…

太田記念美術館

東京・原宿にある浮世絵専門の私立美術館です。1980年開館。コレクションは約1万5000点。浮世絵の楽しさを皆さまにお届けします。表記がない画像は太田記念美術館の所蔵。公式サイトは http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

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記事一覧

遊郭の花魁道中を見物してみた

吉原遊郭の中を、派手な衣装に身を包んだ花魁が闊歩する「花魁道中」。今回は花魁道中の様子をご紹介します。 こちらは溪斎英泉の「新吉原夜桜之光景」。空が暗くなってい…

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吉原遊郭までの道のりをご案内いたします。

吉原遊郭は、浅草寺から北に約1キロのところにありました。現在の東京都台東区千束3~4丁目にあたります。 こちらは江戸時代の地図。左上にある、四角で囲まれている場…

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『北斎漫画』の最終巻は北斎の真筆ではない?という話

葛飾北斎の代表作であり、広く海外にも影響を与えた『北斎漫画』。その完結編となる15編が、北斎の没後29年が経った明治11年(1878)に刊行されたことを以前の記事で紹介しま…

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『北斎漫画』が北斎の死後30年ほども経って完結した理由とは?

葛飾北斎の代表作である『北斎漫画』。人物、動物、植物、建物、自然など、ありとあらゆる題材が描かれた絵本です。現在のイラスト集やカット集のようなものと言えるでしょ…

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弟子たちから見た歌川国芳はどんな顔?という話

歌川国芳は自身の姿をしばしば作品の中に描き込んでいます。例えばこちらの「名誉右に無敵左り甚五郎」は、名工である左甚五郎が歌舞伎役者の顔に似せた人形を彫っていると…

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浮世絵の虹は7色かどうか数えてみた

虹の色の数を聞かれたら、赤・橙・黃・緑・青・藍・紫の7色であると答える人は多いでしょう。しかし、日本以外の国の人に聞いてみると、例えばアメリカやイギリスであれば…

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遊郭の花魁道中を見物してみた

遊郭の花魁道中を見物してみた

吉原遊郭の中を、派手な衣装に身を包んだ花魁が闊歩する「花魁道中」。今回は花魁道中の様子をご紹介します。

こちらは溪斎英泉の「新吉原夜桜之光景」。空が暗くなっていますので、日はすでに暮れた時間のようです。

まずは画面の中央を見てみましょう。花魁が道の真ん中を堂々とした姿で歩いています。吉原遊郭で働く遊女たちにはさまざまな階級があるのですが、その中でも上位の階級の遊女を花魁と呼んでいます。(花魁は

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吉原遊郭までの道のりをご案内いたします。

吉原遊郭までの道のりをご案内いたします。

吉原遊郭は、浅草寺から北に約1キロのところにありました。現在の東京都台東区千束3~4丁目にあたります。

こちらは江戸時代の地図。左上にある、四角で囲まれている場所が吉原遊郭です。

吉原遊郭の周囲は緑色になっていますが、これは田んぼであることを示しています。吉原遊郭は田んぼに囲まれているという、不便な場所にあったのです。

こちらは二代広重の「東都新吉原一覧」。吉原遊郭をはるか上空から見下ろした

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『北斎漫画』の最終巻は北斎の真筆ではない?という話

『北斎漫画』の最終巻は北斎の真筆ではない?という話

葛飾北斎の代表作であり、広く海外にも影響を与えた『北斎漫画』。その完結編となる15編が、北斎の没後29年が経った明治11年(1878)に刊行されたことを以前の記事で紹介しました。

北斎が亡くなってからかなりの年数が経っているにも関わらず、新たな作品を刊行することがはたして可能なのでしょうか。今回は『北斎漫画』15編がどのように制作されたのかをご紹介しましょう。

まず、『北斎漫画』15編の序文を

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『北斎漫画』が北斎の死後30年ほども経って完結した理由とは?

『北斎漫画』が北斎の死後30年ほども経って完結した理由とは?

葛飾北斎の代表作である『北斎漫画』。人物、動物、植物、建物、自然など、ありとあらゆる題材が描かれた絵本です。現在のイラスト集やカット集のようなものと言えるでしょう。

この『北斎漫画』は全部で15編からなるのですが、実は最後の15編は北斎が亡くなった後に刊行されたというのはご存知でしょうか?しかもそれは江戸時代が終わり、明治11年(1878)になってのこと。北斎は嘉永2年(1849)に亡くなってい

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弟子たちから見た歌川国芳はどんな顔?という話

弟子たちから見た歌川国芳はどんな顔?という話

歌川国芳は自身の姿をしばしば作品の中に描き込んでいます。例えばこちらの「名誉右に無敵左り甚五郎」は、名工である左甚五郎が歌舞伎役者の顔に似せた人形を彫っているという場面です。

しかしこの左甚五郎、国芳が好んだ閻魔のどてらを着て、芳桐印の入った手拭いを肩にかけていることから、国芳自身の姿が重ねられていると考えられます。国芳の大好きな猫がそばにいることからも、それは明らかでしょう。

ただ、国芳がこ

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浮世絵の虹は7色かどうか数えてみた

浮世絵の虹は7色かどうか数えてみた

虹の色の数を聞かれたら、赤・橙・黃・緑・青・藍・紫の7色であると答える人は多いでしょう。しかし、日本以外の国の人に聞いてみると、例えばアメリカやイギリスであれば6色、ドイツであれば5色といったように、国や民族によって頭に思い浮かぶ虹の色の数は異なるそうです。

では、江戸時代の人たちにとって虹はどのように見えていたのでしょうか。浮世絵には、それほど数は多くありませんが、ときどき虹が描かれています。

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