太田記念美術館

東京・原宿にある浮世絵専門の私立美術館です。1980年開館。コレクションは約1万500…

太田記念美術館

東京・原宿にある浮世絵専門の私立美術館です。1980年開館。コレクションは約1万5000点。浮世絵の楽しさを皆さまにお届けします。表記がない画像は太田記念美術館の所蔵。公式サイトは http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

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記事一覧

幕末に人を食べる鬼娘がいた話

漫画『鬼滅の刃』では、人間を襲う鬼が登場し、主人公・竈門炭治郎の妹である禰󠄀豆子も鬼と化してしまいます。『鬼滅の刃』は大正時代の物語ですが、幕末にも人間を食べる…

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河鍋暁斎が火災現場でスケッチをしていた話

絵師が火災現場で燃える炎を観察していた話といえば、鎌倉時代初期に成立した説話集『宇治拾遺物語』に収められた「絵仏師良秀」を思い出す方が多いのではないでしょうか。…

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河鍋暁斎の骸骨は、骨だけなのに生き生きしているという話

河鍋暁斎の絵には、骸骨がしばしば登場します。骸骨は骨だけの姿ですので、本来であれば不気味な存在のはずですが、暁斎の骸骨たちには怖さというものがまったくありません…

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浮世絵のカエルたちをご紹介します

カエルが好きな絵師と言えば、自分のお墓にカエルの形の石を選んだ河鍋暁斎。 暁斎の絵本には、リアルなカエルから、人間さながらの動きをするカエルまで、さまざまなカエ…

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幕末に人を食べる鬼娘がいた話

幕末に人を食べる鬼娘がいた話

漫画『鬼滅の刃』では、人間を襲う鬼が登場し、主人公・竈門炭治郎の妹である禰󠄀豆子も鬼と化してしまいます。『鬼滅の刃』は大正時代の物語ですが、幕末にも人間を食べる鬼娘がいたという噂話が伝わっています。

こちらは重丸という浮世絵師による「鬼娘退治」という作品です。

画面の中央には、赤ん坊を口にくわえている女性がいます。女性の口は血で染まり、赤ん坊もぐったりしています。頭には2本の角が生え、まさし

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河鍋暁斎が火災現場でスケッチをしていた話

河鍋暁斎が火災現場でスケッチをしていた話

絵師が火災現場で燃える炎を観察していた話といえば、鎌倉時代初期に成立した説話集『宇治拾遺物語』に収められた「絵仏師良秀」を思い出す方が多いのではないでしょうか。

仏画を描く絵師であった良秀。ある日、自分の家が火災に見舞われてしまいます。良秀は家の外へ逃げ出しますが、家の中にはまだ妻や子どもが取り残されていました。しかし良秀は、家が燃え落ちる様子をじっと眺め、うなずいたり、時には笑ったりしていまし

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河鍋暁斎の骸骨は、骨だけなのに生き生きしているという話

河鍋暁斎の骸骨は、骨だけなのに生き生きしているという話

河鍋暁斎の絵には、骸骨がしばしば登場します。骸骨は骨だけの姿ですので、本来であれば不気味な存在のはずですが、暁斎の骸骨たちには怖さというものがまったくありません。それどころか、生きている人間たちよりも生を謳歌しているようで、とても楽しそうです。

今回は暁斎の骸骨の作例として、『暁斎漫画』という絵本に描かれた1図をじっくりと見ていくことにしましょう。

こちらが『暁斎漫画』のうちの1図。『暁斎漫画

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浮世絵のカエルたちをご紹介します

浮世絵のカエルたちをご紹介します

カエルが好きな絵師と言えば、自分のお墓にカエルの形の石を選んだ河鍋暁斎。

暁斎の絵本には、リアルなカエルから、人間さながらの動きをするカエルまで、さまざまなカエルたちが登場します。

では、他の絵師たちはどのようにカエルを描いているのでしょうか。今回は、浮世絵に描かれたカエルたちをご紹介しましょう。

まずは河鍋暁斎以上に、数多くの絵本を制作した葛飾北斎。その代表作である『北斎漫画』の初編には、

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