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動物 記事まとめ

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浮世絵に描かれた動物たちの記事をまとめました。
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2021年6月の記事一覧

月岡芳年の猫がカワイイという話

猫の絵をたくさん描いている浮世絵師といえば、歌川国芳が有名でしょう。猫が大好きで、たくさんの猫を飼っているだけでなく、仕事をしている最中でも懐に猫を入れていたといいます。 こちらは幼い頃に国芳に入門していた河鍋暁斎が、当時のことを思い出して描いた『暁斎画談』の1図です。右側にいる絵筆を持った人物が国芳。机の周りに猫が何匹もいるだけでなく、懐の中や机の上にもいた様子がよく分かります。 さて、猫好きの歌川国芳の門人であったのが月岡芳年です。芳年と言えば、残酷な血みどろ絵の印象

アニマルデザインの団扇絵 5選

暑い日に欠かせない団扇は、江戸時代も人々の必須アイテム。そして当時、自分好みの団扇を手に入れるのに必要だったのが、団扇絵です。団扇絵は浮世絵版画のジャンルの一つで、紙の周辺を切り取って竹の骨に貼り付けるという実用品。これを使うことで、季節や個人の好みによって団扇の柄を替えることができました。動物を描いたものも数多く、今回は収蔵品のなかから団扇絵5点をご紹介いたします。 1.歌川広重「月に兎」 満月の下、兎が2羽描かれます。青と白のコントラストが大変爽やかですが、月や兎には