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月岡芳年 記事まとめ

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月岡芳年が描いた浮世絵が登場する記事をまとめました。
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2020年9月の記事一覧

髭切と膝丸という刀剣が登場する浮世絵のお話

日本刀の「髭切」と「膝丸」。ゲーム「刀剣乱舞」でも人気キャラクターとなっていますが、その姿は浮世絵の中にも描かれていますので、ご紹介したいと思います。 ※今回紹介する作品は、現在、太田記念美術館では展示しておりません。 髭切(ひげきり)まずは、「髭切」。『平家物語』剣巻によれば、平安時代、源満仲が刀鍛冶に作らせた2本の刀が、髭切と膝丸でした。そのため、ゲーム「刀剣乱舞」の中では、兄弟という設定になっています。 髭切は、罪人の首を斬った際、髭もそのまま一緒に斬れたことから

平安時代の悲しい恋のお話ー月岡芳年の浮世絵より

明治時代の浮世絵師、月岡芳年が描いたこちらの作品。 船の上にいる女性が琵琶を抱えていますが、演奏はしていません。 顔をよく見ると、目頭を押さえて、流れる涙をとどめようとしているようです。 明治19年(1886)に制作された月岡芳年の「月百姿 はかなしや波の下にも入ぬへし つきの都の人や見るとて 有子」という浮世絵です。Twitterでも紹介しましたが、実は、せつなくも悲しい、恋の物語を描いているのです。 この浮世絵の典拠となるのは『源平盛衰記』第3巻。 平安時代後期