暑い日が続くので、涼しげな浮世絵を集めてみた
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暑い日が続くので、涼しげな浮世絵を集めてみた

連日、暑い日が続きます。そんな暑さを少しでもまぎらわすために、涼しさが伝わってくるような浮世絵を集めてみました。

まずは歌川国芳「東都名所 両国の涼」。花火が打ち上げられている隅田川の様子です。

1784歌川国芳

画面の奥、船から花火が盛大に打ち上げられています。

1784歌川国芳1

しかし、屋根船に乗る人たちは花火にはまったく目もくれず、食事やおしゃべりに夢中のようです。右の船は、果物や簡単な料理を販売しています。川の上での宴会は涼しそうですね。

1784歌川国芳2

一方、右下にいる人たちは泳いでいるのではありません。現在の神奈川県伊勢原市にある大山に参拝するため、出発前に隅田川で身を清めているところなのです。

1784歌川国芳3

こちらはその大山詣りを題材にした、葛飾北斎「諸国瀧廻り 相州大山ろうべんの瀧」。大山にある良弁の瀧で、褌姿の男たちが身を清めています。

4828葛飾北斎

旧暦6月27日から7月17日までの間、大山詣りをする男性たちが江戸市中からも数多くやって来ていました。夏の暑い季節ですので、水垢離をとるのは冷たくて気持ちがよかったことでしょう。手にしている長い木太刀は大山の山頂の石尊社におさめるためのもので、帰りに別の木太刀をもらってくるという風習がありました。

4828葛飾北斎1

落下する滝の水が男たちの背中にあたり、白い飛沫が上の方まで飛び散っています。

涼しげな女性の姿も見てみましょう。菊川英山「風流替紋新形染 かをりも高き丁子車の新染」。左下に水を張った盥がありますので、女性は手拭いを濡らし、体の汗をぬぐっているところのようです。

147菊川英山

さっぱりとした表情をしています。

147菊川英山1

小さな子どもも、行水で汚れた体を洗います。こちらは歌川国貞「江戸自慢 洲崎廿六夜」。大きな盥に入れられた子ども。母親らしき女性が体を綺麗にしてあげています。

908 歌川国貞

ただ顔を拭かれるのはちょっと嫌なようですね。顔をそむけ、母親の手をどけようと抵抗しています。

908 歌川国貞1

そばにいる子犬たちが可愛らしいですね。

908 歌川国貞2

最後は川で泳いでいる浮世絵をご紹介しましょう。歌川国貞「極暑あそび」です。夏の暑い日、5人の男性たちが隅田川で泳いでいる姿を、屋根船に乗った人たちが楽しげに眺めています。

図1

泳いでいる姿は実にユニーク。仰向けで体を浮かせる「土左衛門およぎ」。下半身を水の上に直立させる「しゃちほこ立泳」。

12181 歌川国貞1

徳利と盃を持ちながら立って泳ぐ「徳利もち立泳」。頭と足を水面に出し、腰を沈めた「雷盆(すりばち)およぎ」。

12180 歌川国貞1

板を使って浮かぶ「かへるおよぎ」。まるで現在のアーティスティックスイミングのようです。

12179 歌川国貞1

実はこの絵に登場するのは全員、歌舞伎役者たち。ただし、川の中で一生懸命泳いでいるのは、それほど格の高くない、脇役を担う役者たちです。一方、船の中で楽しそうに泳ぎを見ているのは、花形の人気役者たち。

12180 歌川国貞2

川の中で泳ぐのは涼しそうですが、ユニークな泳ぎをしなくてはならないとなると、船の中でのんびりと眺めていた方がよさそうですね。

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文:日野原健司(太田記念美術館主席学芸員)

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