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【オンライン展覧会】浮世絵動物園ー歌川広重「名所江戸百景」

歌川広重が最晩年に描いた「名所江戸百景」。その中から動物を描いた作品8点を選び、他の作品も交えながら、詳しくご紹介いたします。

図4

【購入にあたってのご注意】
・この記事は有料記事です。1点まで無料で公開していますが、8点全てをご覧いただくためには、無料公開の下にある「記事を購入する」をクリックしてご購入ください。
料金は200円です。
・無期限でご覧いただけます。

①猫 「浅草田甫酉の町詣」

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格子窓のそばにちょこんと座っている可愛らしい白猫。両耳を立てて、外の景色をじっと眺めています。

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場所は吉原遊廓の妓楼の2階。遠く西の方角には、富士山が見えます。空が赤く染まっているので、夕暮れの時刻なのでしょう。雁の群れも巣に帰ろうとしています。

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窓の外は、浅草寺の北の地域。江戸時代には田んぼが広がっていました。

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しかし拡大してよく見てみると、田んぼの中をあぜ道を歩いている行列のシルエットが見えます。鷲(おおとり)神社の酉の市に参詣する人々です。

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酉の市は毎年11月の酉の日に行なわれたお祭りのこと。参詣者たちは、除災や商売繁盛を願って、縁起物の熊手や頭芋を買い求めました。こちらは歌川国貞「十二月ノ内 霜月 酉のまち」。右端の少年が持っているような、巨大な熊手も販売されていました。

図1

室内に目を移すと、画面左下の畳の上に、小さな熊手の形をあしらった簪が並んでいるのが分かります。おそらく、酉の町に参詣した男性客の贈り物なのでしょう。その奥に懐紙があるので、花魁はこの屏風の陰にいると思われます。

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では、再び猫を見てみましょう。この猫、首輪はしていませんが、おそらく花魁のペットと思われます。

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窓の外をじっと眺める猫。にぎやかな祭りが行われる外の世界に憧れる花魁の気持ちが重ねられているのでしょうか。あるいは、飼い主のことをまったく気にせず、ぼんやりと外の景色を眺めているだけかもしれません。

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