加速する北斎の遊び心ー葛飾北斎「冨嶽三十六景 遠江山中」
葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景」。全46点ある中で、巨大な波や赤富士を描いた作品は有名だが、他にもお薦めしたい作品はたくさんある。この「遠江山中」は、大胆な構図を駆使した、北斎らしさ満載の作品だ。
舞台は、現在の静岡県西部の山の中。木挽きたちが、斜めに立てかけた角材の上と下に分かれ、懸命にのこぎりを挽いている。
左下の男性は、のこぎりの歯の目立てをして、切れ味を取り戻そうとしているところ。
そこに、赤ん坊を背負った女性が、お弁当の入った包みを手にやって来たようだ。
山