キュレーターバトルについてご紹介します。
NHKびじゅつ委員長 @nhk_bijutsu のツイッターが繰り出す“お題”に、全国の美術館・博物館のキュレーターたちが、「秘蔵の逸品」「謎めいた珍品」で戦いを挑む、「キュレーターバトル」という企画がスタートしました。
太田記念美術館も出題館の一つとして、企画段階から関わらせていただいております。
すでに山種美術館さんや静嘉堂文庫美術館さん、国立科学博物館さんなど、いくつかの美術館・博物館にご参加いただいております。
さて、このキュレーターバトルなのですが、もともとは、2020年4月17日、イギリスのヨークシャー博物館(Yorkshire Museum)が作ったツイッターのハッシュタグ、#CURATORBATTLEのこと。
コロナ禍で世界各地の博物館・美術館が閉鎖されたり、十分に活動ができなかったりという状況の中で、それぞれの博物館・美術館が自慢のコレクションをツイッター上で紹介しあおうと提案されました。
一番最初に出題したテーマは #CreepiestObject。「もっとも不気味なモノ」です。ヨークシャー博物館が紹介したのが、3~4世紀に埋葬された、ローマ人女性の髪の毛でした。
ヨークシャー博物館の呼びかけに対して、世界中の博物館・美術館が反応しました。例えば、ドイツ歴史博物館(Deutsches Historisches Museum)はペストマスクを紹介。
スコットランド国立博物館(National Museums Scotland)は人魚を紹介しました。
そして太田記念美術館も、女性の髪を食いちぎった髪切という謎の化け物を紹介しました。
日本からは他にも奈良国立博物館も参加されていました。
他にもたくさんの博物館・美術館が参加したことで話題となり、キュレーターバトルは引き続いて開催されることに。ヨークシャー博物館から毎週お題が出され、世界各国の博物館・美術館がそれにツイートするという形で、約3か月間、バトルが繰り広げられました。
特に #BestMuseumBum(最高のお尻)のお題は白熱した戦いとなりました。その一部をご紹介。
このキュレーターバトルは、海外のさまざまなメディアで、ニュースとして取り上げられました。
ヨークシャー博物館発のキュレーターバトルを参考に、今回、日本で企画されたのが、NHKの番組主催のキュレーターバトルです。もちろん、ヨークシャー博物館の許可はちゃんと取っているそうです。
美術館や博物館によってツイッターの運用方法が異なっており、他所の企画に気軽に参加することが難しい館も数多くありますが、少しでも多くの館にご参加いただき、さまざまなコレクションを多くの人に知ってもらえる機会になればと思います。はたしてどのような展開になるのか、まったくわかりませんが、乞うご期待です。
おまけとしまして、海外のキュレーターバトルに太田記念美術館もずっと参加していました。以下、その時のツイートをまとめてご紹介します。(ツイートをクリックしていただき、お題となるヨークシャー博物館のツイートをさらにクリックしてもらえれば、他の博物館・美術館のツイートもご覧いただけます。)
お題②:SassiestObject(もっともセクシーなモノ)
お題③:BestHat(最高の帽子)
お題④:BestBird(最高の鳥)
お題⑤:MostMagical(もっとも不思議なモノ)
お題⑥:FabulousFootwear(素敵な靴)
お題⑦:BestBling(最高の輝き)
お題⑧:InterestingInteriors(面白いインテリア)
お題⑨:BestCat(最高のネコ)
お題⑩:BestDog(最高のイヌ)
お題⑪:BestMuseumBum(最高のお尻)
お題⑫:MysteryObject(謎のモノ)
お題⑬:TremendousTransport(驚きの乗り物)
お題⑭FantasticFakes(素晴らしい偽物)
不参加
お題⑮:StarObject(花形のモノ)
なお、ヨークシャー博物館では現在でも不定期にキューレーターバトルを開催しています。ぜひチェックしてみて下さい。
文:日野原健司(太田記念美術館主席学芸員)