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江戸時代のネコもこたつで丸くなるようです。

太田記念美術館

寒い季節になると、こたつが恋しくなってきます。童謡「雪」には「猫はこたつで丸くなる」というフレーズがありますが、江戸時代のネコたちはどうだったのでしょうか。今回は、こたつで丸くなっているネコたちの浮世絵をご紹介しましょう。

こちらは鈴木春信の「水仙花」。2人の男女がこたつに入っています。左の青年が、読書をしているふりをしながら、右の娘に足でちょっかいを出したようです。娘は、ちょっと腹が立ったのか、お返しにとばかり、男性の足をくすぐっています。

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そんな2人の痴話喧嘩にはまったく関心を示さず、ネコがこたつの上で丸くなっています。赤い首輪をつけていますので、ペットとして大事に飼われているのでしょう。こたつの上がよっぽど快適なのでしょうか。気持ちよさそうな表情をしています。

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次は、喜多川歌麿の『絵本四季花』の一図です。窓の外にはしんしんと雪が降っています。女性たちはこたつに入って、ゆっくりとした時間を過ごしているようです。

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そんなこたつの上に堂々と陣取っているのがハチワレのネコ。暖かくて満足しているのか、目を細めています。

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3番目は、月岡芳年の「風俗三十二相 あつたかさう 寛政年間町家後家の風俗」。明治21年(1888)の刊行ですが、江戸時代の寛政年間(1789~1801)の女性の姿を描いています。厚着をしてこたつに入りながら読書をする彼女の姿は、まさしく「あったかそう」です。

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読書をしている彼女の目の前で、ネコがこたつの上でどんと丸まっています。どんな姿勢なのか、ちょっと分かりづらいのですが…。飼い主が本に夢中になっているので、邪魔をしているのでしょうか。ネコらしいですね。

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最後に紹介するのが、歌川国貞の「風流調子婦絵 かん」。若い女の子がこたつに足をいれています。こちらの浮世絵では、ネコはこたつの上にいません。

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ネコがいるのは女の子の懐の中。ネコは幸せそうに目を細めています。こたつの上も暖かいですが、やはり大好きな飼い主のそばが一番落ち着けるようです。今回紹介した浮世絵の中でも、一番いい表情をしていますね。女の子もネコの両手を優しく握っています。

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さて、最後におまけとして、こたつの中を描いた浮世絵をご紹介しましょう。歌川国貞の「江戸名所百人美女 今戸」です。

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火鉢の中にあった炭を、こたつの中に入れようとしています。

浮世絵のネコたちは、先に紹介したように、こたつの上で丸くなっていました。現在のこたつとは違い、江戸時代のこたつは炭火ですので、ネコがこたつの布団の中に入るのはちょっと危険です。こたつの上が、ネコたちにとって一番安全でお気に入りの場所だったようですね。

文:日野原健司(太田記念美術館主席学芸員)

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