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江戸っ子は雨が降ると、みんな裸足になるのか、調べてみた。

先日のTwitterにて、こちらの歌川広景の「江戸名所道外尽 四十六 本郷御守殿前」を紹介したところ、雨の日はみんな裸足なの?というご質問がいくつかありました。

11991歌川広景7

たしかに雨が降るなか、みんな裸足です。実は、筆者はこれまでまったく気にしていなかったのですが、言われてみれば「なるほど」と思い、早速調べてみました。

たとえば、雨の名作、歌川広重の「江戸名所百景 大はしあたけの夕立」。

4452 歌川広重1

左端にいる2人の女性は下駄を履いていますが、

4452 歌川広重2

男性たちは裸足になっているようです。(ただし、右から2番目の男性だけは、草履を履いているようにも見えます。)

4452 歌川広重3

一方、こちらの溪斎英泉の「江戸八景 吉原の夜雨」。

280溪斎英泉のコピー

傘をさす男性たちは高下駄を履き、駕籠かきたちは草鞋を履いています。男性だからといって、必ずしも裸足になるとは限らないようです。

280溪斎英泉のコピー2

そこで、こちらの作品を見てみましょう。勝川春潮の「夕立」です。突然の夕立に見舞われた男女たちの様子です。

図2

足元を見てみると、草履を履いている人、裸足の人とまちまちです。

2057勝川春潮2

ただ、よく見ると、右端にいる女性、脱いだ草履を手に持っています。

2056勝川春潮3

左の方にいる男の子も、他の荷物と一緒に草履を手に持っています。雨が降り出したので、今まで履いていた草履を脱いだようです。

2058勝川春潮3

さて、最初に紹介した、歌川広景の「江戸名所道外尽 四十六 本郷御守殿前」を、改めてもう一度よく見てみましょう。右端の男性の帯のところをよく見てみると…、

11991歌川広景8

脱いだ草履を、腰に挿しています。

最初から雨が降っていれば、下駄を履いて外出したのでしょう。しかし、思いも寄らない突然の夕立に見舞われると、それまで履いていた草履を脱いで裸足になることがしばしばあったようです。雨の中を草履のままで歩くと、草履が傷みますし、そもそも歩きづらかったからと思われます。一方、足が泥で汚れてしまうことは、それほど気にしなかったようですね。

皆さんも、雨が降っている浮世絵をご覧になった時、描かれている人々の足元に注目してみてください。

ちなみに、歌川広景「江戸名所道外尽 四十六 本郷御守殿前」は2020年11月14日~12月13日に太田記念美術館で開催の「ニッポンの浮世絵」展にて展示しております。

文:日野原健司(太田記念美術館主席学芸員)


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原宿にある浮世絵を専門とした美術館です。浮世絵ならびに展覧会に関する情報をお伝えします。画像は表記がないものは太田記念美術館所蔵です。HPは http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/、twitterはhttps://twitter.com/ukiyoeota

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コメント (7)
おもしろですね!フォローさせていただきました。
日本人って自分より道具を大切にしてた証拠だな?!渓流昇り登山の場合、地下足袋に藁草履を履いて行うと聞いた事が有り、濡れた場所でも本来滑り難いと思うが??
昭和1ケタ生まれの父には
風呂に入らなくても足を洗え、と
常々言われました
高度経済成長期の我々こどもたちは
朝にシャワーするし、と
全く聞く耳持ちませんでしたが

おそらく、古来の「家屋に入る際に足を洗う」習慣の名残が
受け継がれていたと思われます
時代劇にたまに登場しますね

草鞋・草履・下駄・裸足・わらぐつにかんじき・・など
日本古来の履物は体を使い続けるのに
理にかなっていたように感じます
清潔さの保ち方も併せて。


私も、仕事から帰ったら、足を、洗います。( 一緒に、手も洗えるので、今のコロナ禍にももってこい。) そして、水虫にもならなくなりました。先人の知恵!馬鹿にはできませぬぞ。
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