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【オンライン展覧会】浮世絵お化け屋敷

太田記念美術館にて、2024年8月3日~9月29日に開催された「浮世絵お化け屋敷」展のオンライン展覧会です。

note上では、画像をクリックすると、より大きなサイズでご覧いただけますので、美術館で実物をご覧いただくような感覚でお楽しみいただけます。
オンライン展覧会の入館料は2,200円です。無料公開の下にある「記事を購入する」をクリックしてご購入ください。一度記事をご購入されると無期限でご覧いただけます。いつでも、どこでも、お好きな時に「浮世絵お化け屋敷」展をご鑑賞いただけます。

展示作品リストはこちら→http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/wp-content/uploads/2024/08/obakelist.pdf


はじめに

 荒れ果てた屋敷に巣くう不気味な妖怪や、怨みを晴らそうと恐ろしい形相で睨みつける幽霊。浮世絵にはさまざまなお化けが登場し、時には見る者を怖がらせ、時にはそのユーモラスな姿で笑わせます。
本展では、歌川国芳の代表作である「相馬の古内裏」をはじめ、歌川国貞や月岡芳年らの人気浮世絵師たちが手掛けた不気味で怖い妖怪や幽霊の名品が大集合します。
 また、楽しそうに踊る猫又や、まるで人間のような表情をした河童、ゆるキャラのような不思議なフォルムをした謎の妖怪たちなど、怖いだけではない、可愛くてユーモラスなお化けたちもたくさん登場します。
 展示作品全174点のうち、約2割が新たに収蔵された初公開の作品となっています。はじめて美術館に訪れた方も、何度も足を運んでくださっている方も、さまざまなお化けたちとの出会いをぜひ楽しんでください。

【不気味な屋敷】

№1 歌川国芳「相馬の古内裏」弘化2~3年(1845~46) 個人蔵

謀反を企てる平将門の遺児である平良門と瀧夜叉姫。大宅太郎光国がその潜伏地である相馬の古内裏という古びた屋敷に潜入した際、瀧夜叉姫の妖術によって巨大な骸骨が召喚された。左で巻物を広げるのが瀧夜叉姫。妖怪を見せることで剛勇な者を見極め、仲間にしようと企んでいた。光国が組み伏せているのは、滝夜刃姫の部下の荒井丸。味方になろうとしない光国に襲いかかったところである。

№2 落合芳幾「今様擬源氏 十五 蓬生 大宅太郎光国」元治元年(1864)3月 個人蔵

妖怪が出ると噂される相馬の古内裏を訪れた大宅太郎光国。屋敷はボロボロで、天井が朽ちて抜け落ちたところから、数百の蝙蝠が飛び去っているところである。豪胆な光国は全く驚くことなく、本物の妖怪が出てくるのを待とうと、座敷の真中に座って四方を見回している。

№3 月岡芳年「和漢百物語 大宅太郎光圀」慶応元年(1865)9月

謀反を企てる平将門の遺児である平良門と瀧夜叉姫。大宅太郎光圀(光国)がその潜伏地である相馬の古内裏という古びた屋敷に潜入した際、瀧夜叉姫の幻術によって骸骨たちが現われ、光圀の目の前で争いを繰り広げているという場面である。骸骨たちは互いに戦うだけで、光圀に襲いかかってくるわけではない。光圀は少しも動じずこれを眺めていると、しばらくして骸骨たちは霧のように消えてしまった。

№4 歌川芳員「将軍太郎良門蟇ノ術ヲ以て相馬の内裏を顕し亡父の栄花を見せ父のあだをほふぜんと士卒をはけまし軍評定の図」嘉永5年(1852)3月

蝦蟇の妖術を使う平良門。たくさんの蛙たちを集めて一匹の巨大な蝦蟇とした。その口から吐き出されている煙に映るのは、亡父の平将門が築いた相馬の内裏のかつての姿。姉の瀧夜叉や仲間である伊賀寿太郎たちに将門がかつての栄華を極めていた様子を見せることで、国家転覆への士気を高めようとしている。

№5 豊原国周「相馬良門古寺之図」安政5年(1858)8月

平良門と瀧夜叉姫が潜伏する相馬の古内裏でくつろいでいる場面。瀧夜叉姫の足元にある長櫃からは煙が湧き出し、中には化け物たちの姿がうっすらと見える。左にいる良門は蝦蟇の妖術使い。背後には巨大な蝦蟇が座っている。

№6 梅堂小国政「相馬旧御所」明治26年(1893)8月

相馬の古内裏を訪れた大宅太郎光国の前に妖怪たちが出現する。巨大な蝦蟇や瀧夜叉姫らしき妖術使い、馬や魚の顔をした化け物、閻魔大王などがいる。実は、明治時代に起きた、旧中村藩主・相馬誠胤の監禁・病死をめぐる「相馬事件」というお家騒動の風刺画となっている。

№7 歌川貞秀「源頼光館土蜘蛛妖怪図」天保(1830~44)頃 個人蔵

源頼光の屋敷を土蜘蛛が率いる妖怪たちが襲う場面。建物のいたる所に妖怪たちがおり、さながらお化け屋敷のようだ。頼光の部下たちの囲碁の対局を見守る妖怪や、庭で相撲を取る妖怪など、楽しそうな姿が見て取れる。

№8 歌川国芳「本朝三勇士」嘉永5年(1852)6月 個人蔵

妖怪が出ると噂される廃寺を訪れた高木馬之助、名古屋山三郎、不破伴左衛門の3人。勇敢な男たちは、不気味な顔をした腐乱死体のようなお化けが現われてもまったく動じる様子がない。

№9 月岡芳年「和漢百物語 不破伴作」慶応元年(1865)8月

不破伴作と名古屋山三郎、高木馬之助の3人は「森家三勇士」と呼ばれ、武芸達者な勇猛な男たちとして知られていた。本図は3人が古寺にいると噂される化け物を見定めるためにやって来た場面。不破伴作のさしている傘に黒づくめの妖怪がへばりついているが、伴作は全く怖気づくことなく、キッと睨み返している。

№10 月岡芳年「美勇水滸伝 高木午之助」慶応2年(1866)10月

歌川国芳「本朝三勇士」(№8)と同様、妖怪が出ると噂される廃寺を訪れた高木午之助、名古屋山三郎、不破伴左衛門の3人。本図ではそのうちの一人、高木午之助が、巨大な顔のお化けに遭遇した場面。午之助はまったく驚くことなく、眉一つ動かさないで睨み返している。新収蔵品。

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