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天気 記事まとめ

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2021年1月の記事一覧

雪の日はご用心ー歌川広景「江戸名所道戯尽 十四 芝赤羽はしの雪中」

東京では頻繁に雪が降らないため、ちょっとの雪でも、足を滑らせて転んでしまうことが往々にしてあります。そんな不注意から起きる事故は、江戸時代にもあったようです。 こちらは、歌川広景(ひろかげ)が描いた「江戸名所道戯尽(えどめいしょどうけづくし)」という、全50枚からなるシリーズの1図、「十四 芝赤羽はしの雪中」です。 舞台は、増上寺の南側を流れる渋谷川に架かる赤羽橋。現在の地下鉄大江戸線、赤羽橋駅のすぐ近くです。奥には、朱色の門を構える立派な屋敷は久留米藩有馬家の上屋敷。雪

雪晴れの朝の空ー葛飾北斎「冨嶽三十六景 礫川雪の旦」

葛飾北斎の代表作と言えば、日本各地から眺めた富士山を描いた「冨嶽三十六景」ですが、全部で46点ある中で、雪景色を描いた作品は、実はたったの1点しかありません。歌川広重が雪を得意としていたことと比べると、ちょっと意外な感じがします。 雪景色を描いた唯一の「冨嶽三十六景」が「礫川雪ノ旦(こいしかわゆきのあした)」です。礫川とは小石川のことで、現在の東京都文京区の西側にあたります。 題名を拡大して文字をよく見ると、「雪ノ且」とあります。「且」ですと「かつ」とか「しばらく」という