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おうちで浮世絵を観賞しよう オンライン展覧会のご案内

新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないという状況の中、太田記念美術館のある東京・原宿に足を運ぶことに不安を覚える方も多いかと思います。太田記念美術館では、ご自宅にいても浮世絵を楽しむことができるように、2021年1月よりオンライン展覧会なるものを配信しております。

オンライン展覧会とは、展覧会で展示した作品の画像や、実際に展示室で使用していた解説を、noteの有料記事としてまとめたものです。ネット上で見られる展覧会図録のようなものとお考えいただければ分かりやすいかと思いますが、展覧会図録以上に、細部までじっくり見られるという利点があります。また、一度ご購入いただければ、PCでもスマホでも、いつでもどこでも無期限にお楽しみいただけます。

今回は、現在配信中のオンライン展覧会をまとめてご紹介いたします。今日の気分に合わせて、お好きなオンライン展覧会をお楽しみください。

①カワイイ動物たちを愛でたい

歌川広重の代表作「名所江戸百景」の中から、動物を描いた作品8点をピックアップ。広重以外の関連作品も紹介していますので、江戸の動物たちについてより詳しく知ることができます。お試し価格の200円になっていますので、オンライン展覧会ってどういうもの?という方にもおススメです。

②妖怪や幽霊の妖しい世界を覗きたい

人間を驚かせたり襲いかかったりする妖怪たちや、黄泉の国から蘇った幽霊、さらには、伝聞や想像に基づいて描かれた異国の様子など、浮世絵に描かれた「異世界」をご紹介した人気の展覧会。実際には展示していない5点の作品も追加コンテンツとして加えています。

河鍋暁斎の絵を一冊の本にまとめて出版した「絵本」を紹介する展覧会。題材によって、①人間と骸骨、②動物と自然、③妖怪と神仏の3つのコーナーに分けていますが、妖怪好きに注目してもらいたいのが③妖怪と神仏。『暁斎百鬼画談』という百鬼夜行を描いた絵本も全頁掲載しています。

人間を災いから守ってくれる神様や霊験あらたかな動物たちなど、ご利益のありそうな浮世絵8点を集めた「御利益浮世絵展」。こちらも200円のお試し価格。コロナ退散のお守りがわりにもどうぞ。

③オシャレな男性たちに出会いたい

華やかなファッションに身を包む若者から、渋い柄をスタイリッシュに着こなす大人、奇抜なデザインを好んだアウトローまで、浮世絵に描かれたオシャレな男性たちを集めました。髪型や当時の流行など、コラムも充実しています。

浮世絵には、美男美女の恋物語だけでなく、心中や不義密通、恋の末の殺人など、衝撃的な事件も題材となりました。浮世絵に描かれたさまざまな恋を集めた展覧会。カッコいい男性たちでなく、綺麗な女性たちもたくさん登場します。

④江戸の町をブラブラ散歩したい

NHKのテレビ番組「ブラタモリ」が好きな方も多いのでは。そんな方にお勧めなのが「江戸の凸凹」と「江戸の土木」。坂道や丘といった江戸の町の高低差に注目した「江戸の凸凹」や、橋や水路、埋立など江戸の町づくりに注目した「江戸の土木」では、浮世絵を通して実際に江戸の町を歩いているような気分を味わえます。参考地図も充実しており、実際の街歩きにも便利です。

雨や雪、晴れといった天候を描いた風景画だけでなく、そこで暮らす江戸の人々の暮らしにもスポットを当てた「江戸の天気」。こちらも実際に江戸の町に暮らしているような気分を味わえます。

⑤日本の歴史や文化を学びたい

浮世絵には日本の歴史や物語を題材にした「武者絵」や「歴史画」といったジャンルがあります。そんな作品の中から、戦いに敗れ去っていく「敗者」たちの姿に注目した異色の展覧会。日本の歴史、特に戦国時代が好きな方たちにとっても、思いがけない発見があることでしょう。

江戸時代には、さまざまな民間信仰が庶民に親しまれました。そしてそれらが浮世絵に描かれることによって、さながら現代のSNSように、さらに広く拡散していきます。不思議な迷信や、ちょっと怪しいニュースまで、「信じる」をキーワードにさまざまな浮世絵を紹介しています。

⑥月岡芳年の世界に浸りたい

幕末・明治に活躍した月岡芳年は、さまざまなジャンルを描いていますが、中でも、「血みどろ絵」や「無惨絵」と呼ばれる残酷な描写や、妖艶な雰囲気を漂わせる女性たちは、芳年ならではの魅力に満ち溢れています。「血」「妖艶」「闇」をキーワードに、芳年の作品をピックアップ。芳年の生み出した世界にたっぷり浸れます。

以上、現在配信中のオンライン展覧会をご紹介しました。太田記念美術館は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、昨年度から入館者が大幅に減少しています。オンライン展覧会をご覧いただくことは、美術館の活動の支援となります。美術館が活動を続けていくためにも、ぜひご購入いただければ幸いです。

文:日野原健司(太田記念美術館主席学芸員)

新型コロナの影響で入館者数が大幅に減少しております。これからも美術館の運営を続けていくため、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。