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月岡芳年 記事まとめ

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月岡芳年が描いた浮世絵が登場する記事をまとめました。
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2020年12月の記事一覧

おいしいの視線の先は?―月岡芳年「風俗三十二相 むまさう 嘉永年間女郎之風俗」

満月の輝く夜、建物2階の縁側で女性がにこやかな表情をしている。右手に持つ串の先に刺さっているのは、天ぷらだ。しっぽがあるので魚であろう。メゴチかキスだろうか。 染付の大皿に天ぷらが盛られ、縦じま模様のそばちょこには、天つゆがなみなみと注がれている。 江戸時代の庶民たちに人気のグルメといえば、そば、すし、うなぎ、そして、天ぷらである。江戸の町でいう天ぷらとは、魚介類にうどん粉をまぶして、ごま油で揚げたもの。アナゴや芝エビ、コハダや貝柱などが好まれた。 天ぷらは油を使う

花魁たちは髪にかんざしをどこまで挿すことができるのか、数えてみた。

花魁といえば豪華絢爛なファッション。なかでも目を惹くのが、簪(かんざし)・笄(こうがい)・櫛(くし)といった髪飾りです。一般の女性たちであれば、控えめに数本挿す程度ですが、花魁たちはこれでもかというくらいド派手に盛り付けます。 それでは、花魁たちはどれくらいたくさんのヘア・アクセサリーを挿しているのでしょうか?6人の浮世絵師たちが描いた美人画の中から、華やかな花魁たちをピックアップしてみました。 トップバッターは喜多川歌麿の「五人美人愛敬競 松葉屋喜瀬川」。寛政7~8年(