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動物 記事まとめ

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浮世絵に描かれた動物たちの記事をまとめました。
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記事一覧

ネズミの絵暦いろいろ

旧暦では、一ヶ月が30日からなる大の月と、29日からなる小の月がありました。毎年変わる大小月を示した暦が「大小」であり、またこれを絵で示したものを近代以降では「絵暦」(大小絵暦)と呼びます。 新年に配られた絵暦では、鶴や亀、十二支などおめでたい動物もモチーフとして人気でした。今回は太田記念美術館が所蔵する絵暦のなかから、安永9年(1779)、庚子の、ネズミが大活躍する絵暦をご紹介いたします。 「鼠の相撲」 12.6×13.1cm ネズミの力士が睨み合っています。行司は大

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ネズミVS人間のいさかいをリポートしてみた

今回ご紹介するのは、ネズミと人との小競り合いを描いた四代歌川国政「しん板ねづミのたわむれ」(明治15年[1882]大判錦絵)。では早速、見ていきましょう。 一段目  夜、ネズミの暗躍と翻弄される人々 まずは一段目。夜中に突然ネズミが現れたのでしょう、寝間着姿の夫婦と子供が大騒ぎをしています。 勇ましく応戦する男性。右手に枕、左手にほうきを手にしています。右足で踏みつけるのはネズミ捕りの仕掛け、「枡おとし」に使った一升枡。棒で支えて立て掛けた一升枡の下に餌を置き、これにネ

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浮世絵の象たちをご紹介いたします

現代人にとって、動物園やテレビで見慣れた動物である象。浮世絵にもしばしば登場するのですが、本来、象は日本には生息しない動物です。今回は江戸から明治にかけて象を描いた浮世絵をご紹介しながら、当時の人々にとって未知の動物である象が、どのような存在であったかも見ていきたいと思います。 北尾重政「江口の君図」寛政1~10年(1789~98)頃 絹本着色 一幅 白い象に乗るのは、謡曲『江口』で知られる遊女。『江口』は、西行法師が摂津国の江口で遊女と歌問答を行ったことや、遊女が普賢菩

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浮世絵のなかに夢中で遊ぶ猫を探してみた

浮世絵には、江戸時代の人々に家族の一員として愛された猫たちが数多く登場します。そこで今回は、夢中で遊ぶ飼い猫たちの姿を中心にご紹介いたします。 月岡雪鼎「髪すき」天明6年(1786) 絹本着色一幅 季節は冬。こたつに入った女性が髪を結ってもらいながら手紙を読んでいます。そしてその手紙の端では・・・ ヒラヒラ揺れるのが面白いのでしょう。赤い紐が結ばれた飼い猫が、手紙の揺れに合わせて踊るようにじゃれついています。ちなみに本図は肉筆画。柔らかな筆使いで猫のフワフワとした体毛が

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#キュレーターバトル #ヘンな生きもの をまとめました。

NHKびじゅつ委員長 @nhk_bijutsu のツイッターが繰り出す“お題”に、全国の美術館・博物館のキュレーターたちが、「秘蔵の逸品」「謎めいた珍品」で戦いを挑む、「#キュレーターバトル」という企画が始まりました。 第1回のお題は「#ヘンないきもの」。2021年12月20日に最初のツイートをして以来、日本全国の博物館・美術館にご参加いただいておりますが、ハッシュタグをさかのぼるのは大変かと思います。 そこで、参加館ごとにツイートをまとめてみました(投稿順です)。太田記

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町で働く猫たちをご紹介します

歌川芳藤の「しん板猫のあきんどづくし」では、猫たちが、人間さながらの姿になって、町でさまざまな商品を売り歩く仕事をしています。今回は、一生懸命働く猫たちの様子を詳しくご紹介しましょう。左上から順番に見ていきます。 ①読売 2匹とも、ちょっと変わった形の笠を頭に被っていますが、八つ折編笠というものです。いろは歌や流行の童謡の本を、読み唄いながら売り歩く読売という商売です。「これまでが上の文句。さよふ、さよふ」「これからが面白い。さあ一ツ読みまう」と、2匹で仲良く相談していま

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江戸時代のイヌが雪の中を駆けまわっているのか、確かめてみた。

童謡「雪」では、雪が降ると「♬犬は喜び、庭駆けまわり~、猫はこたつで丸くなる~」というフレーズがあります。以前の記事では、こたつで丸くなっている江戸時代のネコたちを紹介しました。 それでは、江戸時代の犬たちは雪が降ると喜んで庭を駆け回るのでしょうか?今回は、歌川広重が描いた浮世絵の中から、雪の中の犬たちの様子をご紹介します。 まずは「名所江戸八景 浅草の暮雪」という作品です。雪が降り積もる中、傘をさしながら隅田川のほとりを歩く3人の女性たち。背景には吾妻橋や浅草寺が見えま

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2022年の干支・寅にちなんで、虎の浮世絵を紹介します。

2022年の干支は寅。それにちなんで、浮世絵に描かれた虎たちをご紹介しましょう。 まずは、葛飾北斎が数え90歳、亡くなる数か月前に描いた肉筆画「雨中の虎」です。雨が降る中、虎が上空を睨みつけて、雄たけびをあげています。 もともとこの「雨中の虎」は「龍図」(ギメ東洋美術館蔵)と双福になるよう制作されました。虎の視線の先には龍がいて、虎は龍に向かって雄たけびをあげているのです。 虎のプロポーションをよく見てみると、首や尾っぽが異様に長かったり、足もかなり大きかったりしていて

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江戸時代のネコもこたつで丸くなるようです。

寒い季節になると、こたつが恋しくなってきます。童謡「雪」には「猫はこたつで丸くなる」というフレーズがありますが、江戸時代のネコたちはどうだったのでしょうか。今回は、こたつで丸くなっているネコたちの浮世絵をご紹介しましょう。 こちらは鈴木春信の「水仙花」。2人の男女がこたつに入っています。左の青年が、読書をしているふりをしながら、右の娘に足でちょっかいを出したようです。娘は、ちょっと腹が立ったのか、お返しにとばかり、男性の足をくすぐっています。 そんな2人の痴話喧嘩にはまっ

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浮世絵のカエルたちをご紹介します

カエルが好きな絵師と言えば、自分のお墓にカエルの形の石を選んだ河鍋暁斎。 暁斎の絵本には、リアルなカエルから、人間さながらの動きをするカエルまで、さまざまなカエルたちが登場します。 では、他の絵師たちはどのようにカエルを描いているのでしょうか。今回は、浮世絵に描かれたカエルたちをご紹介しましょう。 まずは河鍋暁斎以上に、数多くの絵本を制作した葛飾北斎。その代表作である『北斎漫画』の初編には、2匹のカエルが登場します。1枚目はトノサマガエル、2枚目はアメフクラガエルでしょ

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河鍋暁斎がカエル好きだったという話

河鍋暁斎の肉筆画や版画には、さまざまなカエルたちが登場します。絵本というジャンルに目を向けてみても、こちらのように本物そっくりのリアルなカエルから、 こちらのような、人間さながらのユーモラスな動きをするカエルまで。 いずれもカエルの特徴をしっかりと捉えているだけでなく、暁斎のカエルに対する愛着が感じられます。今回は、暁斎がカエル好きだったというエピソードについてご紹介します。 そもそも暁斎がカエルを好きだったのは、幼い頃からのようです。 『暁斎画談 外篇』上巻の冒頭に

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歌川国芳が描いた「九尾の狐」の物語

「九尾の狐」あるいは「玉藻の前」という妖怪を、漫画やアニメ、ゲームのキャラクターとして知ったという方も多いのではないでしょうか。 「白面金毛九尾の狐」という妖怪は、絶世の美女に姿を変え、さまざまな国の為政者たちをたぶらかしたことで知られており、その悪行は、中世や近世のさまざまな物語の中で語られています。特に、江戸時代後期には、岡田玉山作・画『絵本玉藻譚』や高井蘭山作・蹄斎北馬画『絵本三国妖婦伝』といった読本(よみほん)が広く読まれました。 歌川国芳は、『絵本玉藻譚』を参考

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江戸時代のウマが蹄鉄ではなく草鞋(わらじ)を履いていたという話

先日、歌川広重の「名所江戸百景 四ツ谷内藤新宿」をTwitterで紹介したところ、ウマが草鞋(わらじ)を履いているところが気になるという反応をいただきました。 確かによく見ると、人と同じ様に、ウマも4つの足すべてに草鞋を履いていることが分かります。 ウマが草鞋を履いていることは珍しいのでしょうか。他の浮世絵も見てみましょう。こちらは同じく歌川広重の代表作「東海道五拾三次之内」より「吉原 左富士」。 街道の松並木を、ウマが3人の子どもを乗せて歩いています。3人乗りができる

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アニマルデザインの扇 5選

あまり知られていないかもしれませんが、太田記念美術館のコレクションには900本以上の扇が含まれてます。かつては大阪の豪商、鴻池家にあったもので鴻池家と太田家が姻戚関係にあったことから縁があり、太田記念美術館の開館に際して所蔵品となりました。多くは江戸時代後期の多様なジャンルの絵師たちの作品で、すべて版画ではなく絵師が直接絵筆をふるった肉筆画。そのため小画面ながら、それぞれの個性が発揮された多彩な筆使いを楽しむことができます。動物を描いたものも多く、今回はよりすぐりの5点をご紹

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