太田記念美術館

東京・原宿にある浮世絵専門の私立美術館です。1980年開館。コレクションは約1万500…

太田記念美術館

東京・原宿にある浮世絵専門の私立美術館です。1980年開館。コレクションは約1万5000点。浮世絵の楽しさを皆さまにお届けします。表記がない画像は太田記念美術館の所蔵。公式サイトは http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

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記事一覧

髭切と膝丸という刀剣が登場する浮世絵のお話

日本刀の「髭切」と「膝丸」。ゲーム「刀剣乱舞」でも人気キャラクターとなっていますが、その姿は浮世絵の中にも描かれていますので、ご紹介したいと思います。 ※今回紹…

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江戸時代のポケモン?のルーツを探ってみた

歌川芳虎が描いた「家内安全ヲ守 十二支之図」という浮世絵。おうちの安全を守るため、なんと十二支が合体したという作品です。たくさんの動物が一つになりましたので、さ…

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虎子石、世界にはばたく?の巻 太田記念美術館の謎のアイコン「虎子石」②

さて、今回は虎子石と、太田記念美術館の長い歴史?について書いていきます。 当館学芸員が虎子石を見出したのは、2010年のこと。「浮世絵動物園」という展覧会を開催する…

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葛飾北斎の誕生日はどうやって判明したのかというお話

葛飾北斎の誕生日は、宝暦10年9月23日。現在のグレゴリウス暦に直すと、1760年10月31日とされています。しかし、浮世絵師の誕生日というのは、実は、はっきりしていないケ…

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太田記念美術館の謎のアイコン「虎子石」①これって何?生き物?

太田記念美術館の公式twitterアカウントや、noteアカウントに使われている謎のアイコン。 これは何なの?石?生き物?と思われる方が多いので、改めて紹介したいと思いま…

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御茶ノ水は人工の渓谷だった

太田記念美術館では2020年10月10日~11月8日に「江戸の土木」展を開催しました。「土木」というキーワードで、江戸の成り立ちの様子を、浮世絵を通して眺めてみようという…

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髭切と膝丸という刀剣が登場する浮世絵のお話

髭切と膝丸という刀剣が登場する浮世絵のお話

日本刀の「髭切」と「膝丸」。ゲーム「刀剣乱舞」でも人気キャラクターとなっていますが、その姿は浮世絵の中にも描かれていますので、ご紹介したいと思います。

※今回紹介する作品は、現在、太田記念美術館では展示しておりません。

髭切(ひげきり)まずは、「髭切」。『平家物語』剣巻によれば、平安時代、源満仲が刀鍛冶に作らせた2本の刀が、髭切と膝丸でした。そのため、ゲーム「刀剣乱舞」の中では、兄弟という設定

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江戸時代のポケモン?のルーツを探ってみた

江戸時代のポケモン?のルーツを探ってみた

歌川芳虎が描いた「家内安全ヲ守 十二支之図」という浮世絵。おうちの安全を守るため、なんと十二支が合体したという作品です。たくさんの動物が一つになりましたので、さぞかしパワーアップしたのかと思いきや…

前足と後足をそろえ、ちょこんと立っている可愛らしい姿に。顔がネズミのためか、頼もしさはまったく感じられません。はたして、おうちの安全をしっかりと守ってくれるのか…。とっても心配になります。

こちら

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虎子石、世界にはばたく?の巻  太田記念美術館の謎のアイコン「虎子石」②

虎子石、世界にはばたく?の巻 太田記念美術館の謎のアイコン「虎子石」②

さて、今回は虎子石と、太田記念美術館の長い歴史?について書いていきます。

当館学芸員が虎子石を見出したのは、2010年のこと。「浮世絵動物園」という展覧会を開催するために、約14000点にのぼる収蔵品の中から、動物が描かれているさまざまな絵をピックアップしていました。そのとき、偶然学芸員の目についたのがこの作品。

歌川芳員「東海道五十三次内 大磯」(※現在展示されておりません)

もちろん当館

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葛飾北斎の誕生日はどうやって判明したのかというお話

葛飾北斎の誕生日はどうやって判明したのかというお話

葛飾北斎の誕生日は、宝暦10年9月23日。現在のグレゴリウス暦に直すと、1760年10月31日とされています。しかし、浮世絵師の誕生日というのは、実は、はっきりしていないケースがほとんどです。

例えば、「東海道五拾三次之内」で知られる歌川広重は、寛政9年(1797)に生まれましたが、何月何日に生まれたかは分かっていません。また、鈴木春信や喜多川歌麿は、生まれた年さえもはっきりしておらず、推定にし

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太田記念美術館の謎のアイコン「虎子石」①これって何?生き物?

太田記念美術館の謎のアイコン「虎子石」①これって何?生き物?

太田記念美術館の公式twitterアカウントや、noteアカウントに使われている謎のアイコン。

これは何なの?石?生き物?と思われる方が多いので、改めて紹介したいと思います。

実はこのアイコンは、歌川芳員「東海道五十三次内 大磯」(※現在展示しておりません)という作品に描かれた、謎のキャラクターを切り抜いたもの。大きな石に虎の手足と尻尾、目や口と思われるものもついており、おそらく生き物なのでし

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御茶ノ水は人工の渓谷だった

御茶ノ水は人工の渓谷だった

太田記念美術館では2020年10月10日~11月8日に「江戸の土木」展を開催しました。「土木」というキーワードで、江戸の成り立ちの様子を、浮世絵を通して眺めてみようという展覧会でしたが、その見どころをご紹介します。

今回は江戸時代に、人の手で造られた渓谷の話。御茶ノ水駅から秋葉原駅まで、神田川沿いを下ると、都心とは思えない谷状の地形が続いています。実は飯田橋付近から秋葉原付近までの神田川は、仙台

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